彼女連れの推しになんて会いたくなかった

 この間、私の家の近くのショッピングセンターで例の推しに会った。

彼女を連れていた。チャラくなっていた。でもやっぱりかっこよかった。

 推しが好きすぎて、すがるような思いで、今年のはじめに推しの仕事用のメールアドレスに迷惑を承知で長文メールを送った。すると、返事が来た。ファンの人と連絡を取らないって事務所と約束したから、といいつつ推しも長文で返してくれた。わたしは彼の熱狂的ファン第一号と公認されたらしい。聞いたか、他のファンの奴ら。それから入試を応援してくれた彼に合格の報告とお礼を三月中旬に伝えた。すると祝福といつでも相談に乗るからどしどしメールくださいという返事。お前前言撤回かよ?約束どうなったの?そしてどうやら私は推しに妹のような存在と思われているらしい。聞いたか、他のファンの奴ら...あれ、これっていいことなのか?

相談するような大きく人に聞かせられる悩みもなく、またどしどしメール送ったって迷惑だろうから私は結局何も返せないまま六月に突入してしまった。

本当は推しに会いたすぎて、彼の働いているであろう店に押しかけたけれど結局会えなかった事とか町で見る同じような背丈だったり雰囲気だったりする人にいちいち反応してしまう事だとか推しに聞かせられないような鬱屈した感情の塊が心の中にあったけど、なんだかんだ忙しさとしんどさにいつの間にか推しは私の最優先じゃなくなっていた。

そんな時に、推しに会った。彼女連れの。

 

今までも一度、同じところでもしや、という人を見かけたことがあった。でも友達といたせいもあって、そして勇気がなくて確かめるには至らなかった。今思えばあれはきっと推しだったんじゃん、一生会えないかもとかポエムっていた自分が恥ずかしい。過去記事の二つ読み返したけどお前ほんとなんなの、ポエミーすぎる。恥ずかしい。

 

その時私は親と服を買いに来ていた。近所なので割と適当な服に適当な髪型にほぼすっぴん。だけど推しと彼女にとってはデートなので二人ともばっちりおしゃれしている。さらに気が引けた。はなから声を掛けるつもりはさらさら無かったけどさあ。

推しを見た瞬間思ったより動揺は無くて、必死に隠れなきゃという感情が湧いた。見つかりたくなかったから。あんなに会いたかった推しなのに、結局自分はアイドルとファンという関係上じゃないと彼に会うことが出来ないんだと分かった。リアコのはずだったのに。

でもやっぱり会いたい、でも会いたくない。なんだかんだ好きなんだよ。今度メールしようと思っても書くことがない。彼女になりたいとも結婚したいとも思ったけどまあ普通に考えて叶うわけがないよね、彼女は顔は見えなかったけど可愛かった。

このまま推しのことを好きっていう感情が薄れてしまえば楽だし、おのずとそうなるんだろうな。

でも、忘れたくないし好きという感情を薄れさせたくもない。推しが今もアイドルをやっていてくれたなら、本当によかったのに。